大会テーマ

「マラソンを科学する」

つくばマラソンは、「マラソンを科学する」という大会テーマのもと、マラソンを様々な角度から考え、「科学する」というフレームで毎年「進化してゆくマラソン大会」を目指しています。
今年、新たに取り組む内容は、「ランニングフォーム」と「応援」です。

ランニングフォームを科学する

■マラソン・ランニングのバイオメカニクス
マラソンは42.195kmを走り抜きます。1歩1歩の積み重ねがゴールに近づきます。1歩の進む距離(ストライド長)が1mであれば、42195歩が必要であり、1歩にかかる時間(ストライド時間)が0.4秒とすれば、16878秒すなわち4時間41分で完走することになります。
マラソンでは疲労によりストライド長およびストライド時間ともに低下し、ペースが低下します。この低下を防ぐために、日々のトレーニングにより持久力を向上させるばかりではなく、レース序盤から効率的な走りを目指し、かつ中盤以降では疲労した中でなんとかペースを維持しようと身体を駆使していると思います。
これらの効率的なフォームや疲労したなかでペースを維持する動きは、身体の上下動やブレーキ、腰の回転や姿勢などで評価できる可能性があります。

今回は計測に参加していただくランナーに筑波大学とカシオ計算機㈱との共同研究で開発された解析アルゴリズムを搭載した小型モーションセンサーを装着してもらい、フルマラソンを走っている間のセンサーデータを記録します。
この研究において、マラソンにおける効率的に、ペースを維持できるフォームを検討し、マラソンを楽しむ方々に有益な情報を提供したいと考えています。

※協力:筑波大学 体育系准教授 榎本靖士
    カシオ計算機株式会社

応援を科学する

■沿道応援の活性化
応援は、給水や給食と同じように、ランナーにとって大きな活力となります。
つくばマラソンでは、「沿道応援の活性化」を課題の一つととらえ、今ではおなじみとなった距離表示の下の応援コメントを第30回大会から始めました。
また、地元の小学校・中学校の協力で、応援演奏を数カ所で行っています。
今年からは更なる活性化を目指し、応援チームの募集を始めました。
沿道応援には地元の協力が欠かせません。今後、地元の皆さんとのつながりを強くできる仕組みをつくっていきたいと考えています。

給水・給食を科学する

■給水の仕方を考える
レース中の「給水」が正しく出来ているかどうか、レース前後の体重変化で検証します。昨年の大会では、体験者の約35%のランナーが、レース中の給水が過剰もしくは不足だったという結果でした。
今年はメイン会場内に体重計を置いた「給水量チェックコーナー」のテントを設置します。下記を参考に、正しく給水が出来たか、確認してみてください。

走行前の体重-走行後の体重=体重減少量
体重減少量÷走行前の体重×100=脱水率
☞ 水分補給量が適量の場合 → 脱水率が2%程度
☞ 水分補給量が不足の場合 → 脱水率が3%程度
☞ 水分補給量が過剰の場合 → 脱水率がマイナス

■給食の内容を考える
今年も、下記の3つのポイントを踏まえた内容にするとともに、ランナーアンケートにあった意見も参考に、準備します。
①血糖値を急激に上げない糖質の摂取
☞ バナナ、みかん、ブルーベリー、雑穀系パン
「雑穀系パン」は「パサパサ」する、との意見があったのですが、フルーツが入って食べやすい「ブランスティック」のみとします。
②疲労を防ぐ抗酸化物質の摂取
☞ トマト、ブルーベリー、きゅうり
「きゅうり」は「大きすぎる」との意見が多く見られたので、今年は昨年よりも小さく切ったものを提供するようにします。
③効率を考えたエネルギー補給
☞ メープルシロップキャンディー
「メープルシロップ」の糖は、ご飯やパンなどの固形物からとる糖よりも身体に素早く吸収され、また、糖質代謝に必要なビタミンB1、B2を他の食材で補わなくてもエネルギーに変換できます。更に、前述の抗酸化物質であるポリフェノールを多く含み、脚つり予防成分としても知られるカリウム等のミネラルも含んでいる、ランニングに非常に適した食材です。今年は、このメープルシロップキャンディーを後半の給食として準備します。
また、一昨年まで提供していた「あんぱん」の復活を望む声が多かったため、今年「あんぱん」の提供を復活することにしました。

※協力:筑波大学 体育系 運動栄養学 准教授・管理栄養士 麻見直美

スタートを科学する

■陸連登録エリアを2つに分割
これまでスタートAブロックを「陸連登録エリア」とし、公認コースにおける大会で3時間30分までの記録を持つ陸連登録ランナーのスタートエリアとしていました。しかしこの場合、Bブロックの制限タイムのほうが早く、安全性に欠ける状況となっていました。そこで今年はウェーブスタートを利用し、陸連登録エリアを第1ウェーブと第2ウェーブの各先頭エリア(A、C)の2つに分け、より安全性の高いスタートエリアを確保するようにしました。また、各ウェーブの人数を調整することで通過時間を調整し、スタート時間を覚えやすい時間にしました。

今回実施するウェーブスタートの内容は、下記の通りです。
第1ウェーブ  9:00スタート  約3,350名
第2ウェーブ  9:05スタート  約3,250名
第3ウェーブ  9:10スタート  約4,250名
第4ウェーブ  9:20スタート  約4,100名

※協力:筑波大学 体育系教授 鍋倉賢治
鍋倉先生の「ウェーブスタート」に関するコラムはコチラ

景観を科学する

■メイン会場の施設をわかりやすくするためにのぼり旗を設置
メイン会場に設置している更衣室や手荷物預り所などの施設の場所がわかりづらい、という声に応え、今回、メイン会場の施設をわかりやすくするため、のぼり旗を設置することにしました。
これまで更衣室や手荷物預り所は縦型の看板で表示していましたが、人が多く集まる場所では見えづらい状況となっていました。また、総合案内はテントの上に大きな看板を出していましたが、こちらも、周囲に同じ高さのテントが多く設置されているため、遠くからはわかりづらい状況でした。こうした状況を解消するため、今回、のぼり旗を設置し、遠くからでも場所がわかるようにします。
また、近年、外国から参加されるランナーが増えてきていますが、その状況に対応し、昨年は、案内表示に英語とピクトグラムを追加しました。今回設置するのぼり旗にも英語とピクトグラムを表記し、外国人の方にも、また遠くからでもわかりやすくします。

■色彩心理を活用した距離表示の配色
1kmごとに掲出している距離表示は、フルマラソンにおけるランナーの状態や心理を鑑みて色彩心理の面から色を選定。ランナーは、5kmを一つの区切りとして意識しながら走ることが多いため、5kmごとに色を変化させ、より区間を意識して走ることのできる環境を整えます。 色彩心理を活用した距離表示の配色

■色彩学を活用した給水所における表示物の配色
配布物(水、アミノバリュー、バナナ、きゅうりなど)から連想される色を設定。視認性・識別性を高める効果を期待したものですが、昨年のランナーアンケートでは、その効果を実感したランナーが増える結果となりました。

※協力:筑波大学 芸術系准教授 山本早里